プロが注目するFLOS ARCO by A.&P.G. Castiglioni、1962
AchilleとPier GiacomoのCastiglioni兄弟によってデザインされたARCOは1962年にFLOSより発表されました。
デザインにほんのわずかでも興味をもった方なら知らない人はいないくらい有名な照明です。
ARCOという名称や誰がデザインしたか知らなくてもこの照明をイメージする方は多いのではないでしょうか?それくらいユニークでインパクトの強いデザインをしています。
本来はダイニングテーブル用に考案された照明
ARCOで思い描くことは、巨大なアーチ、重たい白大理石のベース、お金持ちの応接間に必ずある、ソファ横で使われている、といったところでしょうか。
しかし本来はダイニングテーブル用に考案された照明です。
この辺の件はこの10年間でかなり普及したのでここではパスしますが、そういったダイニングテーブル上で使用している写真を見返していて気づいた点がありました。
真正面からARCOを見ると、ステンレス製のアーチが一本の線となって存在を消し、半球状のセードだけが宙に浮いているということです。
先ほども触れたようにARCOのイメージは重たい白大理石と、巨大な弧を描くアーチというとてもゴージャスでダイナミックというイメージなのですが、正面から見るとこのイメージが全く違うものに変わるのです。
これは特にCastiglioni兄弟の60年代から70年代の作品について顕著なのですが、重たいベースを起点にして器具の存在が無になり、無から灯体が現れて発光し、必要なところを照らし出す、という共通点です。
しかも灯体はフレキシブルである程度照射方向を調節できるので、とても自由度が高い使用が可能です。
これは昨日OKとの比較で紹介したPARENTESIや、輸入照明十選で紹介したTACCIAでも同じことが言えますが、デザインをなるべく無に近づける、そして空間や物理的な制約に縛られない自由なデザインを追求する彼ららしいポリシーの帰結です。
このような機能とデザインをもったCastiglioni兄弟の照明は、特に1960年代から70年代に多く見られた特徴です。
その後よりデザインを視覚的に追求していくFLOSの姿勢に合わせるような形でこのような特徴は段々薄れていきましたが、この時期の照明達が最もCastiglioni兄弟らしいデザインだったと思います。
Castiglioni兄弟の理想はデザインを完全な無にし、光るという機能だけを実現すること
デザインをするということとは矛盾しますが、デザインというものを完全に無にして、光るという機能だけ満たすことが彼ら兄弟の究極デザインということを何度か聞いたことがあります。
そういう意味合いでいけば何度も言いますが、60年代から70年代に発表した作品群が彼らの理想に最も近くて、その後理想から遠ざかっていったのではないでしょうか?
とはいえ一流のフォルマリスタでもあった彼らの作品は、この年代以降のものでもとても魅力に満ちたもので埋め尽くされているのですけれど!
昨日に引き続き、今日もこの言葉で締めくくります、やはりCastiglioni兄弟は偉大です‼️
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